大判例

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仙台高等裁判所 昭和36年(う)6号 判決

判決理由〔抄録〕

職権をもって調査するに原判決は本件業務上過失致死の事実につき、被告人が飲食店等を飲酒して廻わり酒に酔い正常な運転ができない虞れがあったので、このような場合は、当然運転を避止すべき業務上の注意義務があるのに右義務に背き、漫然自動三輪車の運転を開始した、と認め、右酩酊運転の罪と業務上過失致死の罪とを一所為数法として処断している。しかし原判決挙示の証拠によれば、なるほど被告人は当日飲食店等を飲酒して廻わり自動三輪車を運転して帰途についた直前ころまで清酒二合位とビール三本足らずを摂取したのであるが、摂取時間は午後五時ころから午後一〇時過ぎまででその間約五時間もあるし、平素の酒量が清酒約三合であることに照しても、また、被告人が運転開始後本件事故を惹起するまで、及びその後の行動につき述べるところに徴しても、当時被告人がさして酩酊していたとは認められず、まして被告人が原審も認めるごとく事故直前において酩酊のため前方注視の能力が減弱したとか、操縦が困難ないし不可能になった等事故直前において注意義務をつくすことが不可能な状態に陥っていたものでもないのであるから、原審も認めるごとく事故直前において被告人の過失を認定すべく、被告人の発進に当り、高度の酩酊による事故の発生を予想すべきものとし発進を避止すべき義務を認めることはできない。

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